着物に興味を持っていろいろ調べていると、友禅(ゆうぜん)という言葉を耳にすることがあります。
普段あまり聞き慣れない言葉なので、はじめて聞いたときは難しい印象を受けてしまいますが、全然そんなことはありません!
友禅とは江戸時代から伝わる伝統的な着物の染め方の一種で、着物ファンの間ではよく知られています。
今回の記事ではそんな魅力的な友禅について、その染色方法や由緒について見ていきたいと思います。
友禅とはなにか?
友禅とは伝統的な着物を染める方法である友禅染めを略した言い方で、友禅染めを施した着物のことを友禅着物と言ったりもします。
動物や植物、自然の風景などをモチーフにした柄が特徴で、その由来は江戸時代の扇絵師(扇に絵を描く人)である宮崎友禅斎にまでさかのぼると言われています。
扇絵師であった友禅の絵画を布の上に描くためには、染料同士が滲んでしまわないように、なんらかの工夫をする必要がありました。
そこで米糊を使って隣り合う色が滲んでしまわないように絵を描く技法が生まれ、その方法が友禅染めと呼ばれるようになります。
実はこの技法自体も友禅本人が考案したと言われていましたが、現在ではそれを証明する資料や文献が見つかっていないため、その説を否定する意見もあります。
ただ現在では上のような作り方をしていなくとも、友禅のような柄をプリントした着物を総称して友禅と呼ぶこともあります。
友禅染めの作業工程
さて、次はすこしマニアックな話にもなりますが、友禅染の作業工程を少し解説しておきましょう。
友禅では絵師さんが下絵から染めまで行うパターンと、下絵を書く部分と染める部分を分業するパターンがあります。
いずれにしてもまずはいくつもある図案の見本から、下絵と呼ばれる柄を描きます。
続いて米糊やゴム糊を使ってその下絵の輪郭を細い線でなぞっていくのですが、このとき一定の細さを保ったまま線を引いていくのは熟練の技が必要と言われています。
またこのときに引いた線は染料後も白く残り、これが糸目と呼ばれていて友禅のもっとも大きな特徴になります。
輪郭線を引いたあとは筆や刷毛を使って染料を入れていく「色挿し」という工程に移ります。
このときそれぞれの染料が滲んでしまわないよう、一色一色丁寧に染めていきます。
この工程が終わると全体の大まかな柄は決まります。
色差しが終わったあとは布に色をなじませるために、80度以上の蒸気に20~40分ほど当てる「蒸し」という作業をおこなって柄を描く部分は終わりです。
さらに作業は続いて、次は着物全体の色合いを染める「地染め」に移ります。
地染めは着物全体の色合いを均一にする必要があり高度な技術が必要なため、多くの場合熟練した染師さんによって行われます。
また昔は藍など植物由来の染料を使っていたため、きれいに染めるには酵素の力を活用する必要があったので、夏場の高温多湿な環境が必要だったそうです。
地染めまで終わりましたら、最後に余分な染料を川で洗い流しますが、これがいわゆる「友禅流し」というものです。
様々な色合いの布が川にさらされる様子は観光の名所にもなりますが、残念なことに近年では川が汚れてしまっているためほとんど人工の川で行われるようになってしまっています。
このように本場の友禅染めは、完成までに非常に手間と時間がかかるので、高価で販売されているわけですね。
手描き友禅と型友禅
続いて友禅染めの種類についてもあわせてみておきましょう。
友禅染には型紙を用いて行う型友禅と、すべての柄を手描きで行う手描き友禅があります。
江戸時代の後半、布を染めるために用いる植物由来の染料は供給量が限られていたこともあり、もともとすべて職人さんがゼロから描く手描き友禅をおこなっていました。
そのため当時友禅が流行していたとはいっても、一般の人にとってはとても高価だったので、 その流通は将軍や貴族、そのほか一部の裕福な商人たちに限られていました。
そこから時が流れて明治時代に入り、日本は一気に近代化をしていきますが、そのあおりを受けて友禅染めの世界にも化学染料が流れ込んできます。
植物染料と異なり、工業的に供給量をコントロールできる化学染料が増えたことで、友禅の世界にも量産化のトレンドが起きました。
このタイミングで登場したのが型友禅という染め方で、予め用意した数枚の型を用いて、効率的に布を染めていく技法になります。
この技法のおかげで安価に量産できるようになったため、友禅染めの着物が一般大衆の間にも広まっていき、さらにそのブームが促進されることになります。
とはいえ、手描き友禅が廃れてしまったわけではなく、特にこのあとご紹介する日本三大友禅は現代でも伝統的な友禅染めとして代々受け継がれています。
日本三大友禅とは
さてここからは友禅の中でも特に有名な三大友禅についてご説明していきます。
日本の三大友禅は、京友禅、加賀友禅、東京(江戸)友禅があります。
まず京友禅ですが、京都のゆったりと優雅なイメージの通り柔らかい色調と多彩な色彩を特徴としています。
また歴史や風情を重んじるのは今も昔もかわらず、古風な模様で伝統的な着物という印象です。
続いて加賀友禅では、色彩が鮮やかであるところは京友禅と同様なものの、加賀五彩とよばれる独特な色合いがあります。
また有名な虫食いなど、自然をありのままに描写する写実的なデザインも特徴的と言われています。
最後に東京(江戸)友禅ですが、あまり派手な色合いではなく都会的な落ち着いたデザインです。
江戸っ子の考えとしては、やはりさり気なさのようなものが粋だと考えられていたのでしょう。
友禅を楽しみたい人に
今回は着物の友禅について説明しましたが、着物レンタルあきでは友禅の着物も多数取り揃えております。
もし記事を読んでみて、実際に友禅染めした着物を着てみたいという人がいらっしゃいましたら、是非お気軽に着物レンタルあきをお尋ねください。
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