着物の生地の種類まとめ!織り方もあわせてご紹介


冠婚葬祭やお宮参り、七五三など、ふとしたときに着る機会がある着物。

しかしいざ着る着物を選ぼうとすると、素材や織り方など想像以上に多くの種類があり、どれにすればいいか迷ってしまいます。

選び方の基準を知らないと、快適に過ごせないだけでなく、その場にふさわしくない着物を選んでしまうかもしれません。

着る機会が限られているからこそ、間違った選び方をしてしまわないように、それぞれの違いについてしっかりと見ていきましょう。

生地素材の種類

まず前提として着物は織物でできており、織物は糸でできており、糸は素材でできています。

そのため一言で生地の種類といっても、糸の素材の種類なのか織り方の種類なのかを理解しないと、逆に混乱してしまうことがあります。

よってどの話をしているのか理解しながら読み進めていただけると幸いです。

前置きが長くなりましたが、まずは糸の素材についてご紹介していきます。

代表的な素材は、絹・木綿・麻・ウール・ポリエステルの5種類です。

絹で作られた着物

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蚕の繭から取れる絹糸で作られた着物は最高級品に分類されます。

絹で織られた着物の特徴は、手触りが良く、美しい光沢があり、気品の良さを表現できます。

また、身体にもよく馴染むため動きやすく、ラインを美しく魅せてくれます。

一般的に絹で織られた着物は他の素材の生地で作られたものより格上とされ、基本的に高級着物には絹が使われています。

多くの方がイメージする華やかな模様が描かれた振袖や訪問着の素材は、ほぼ絹で作られていると言っていいでしょう。

一方でデメリットとしては、湿気に弱い、汗や日光により変色する、虫に食われやすい、などが挙げられます。

また、お値段も他の素材に比べて高価なため、初心者の方には少し手が出しづらいかもしれません。

絹の最大の特徴は滑らかな手触りです。

最近では化学繊維でも似たような手触りのものがありますが、絹でできた着物のほうが、よりしっとりとしている印象です。

また汗をかいても化繊のように肌に張り付く感触がなく、より着心地が良いです。

絹の着物は着用するとその違いがはっきりとわかりやすいと言えるでしょう。

木綿で作られた着物

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続いてワタの種子から取れる木綿(コットン)で作られた生地についてご紹介します。

繊維が太く丈夫な木綿の着物は、普段着用として最もスタンダードな生地です。

特徴としては丈夫で耐久性があり、通気性や吸湿性に優れていて、肌触りも良いです。

さらに色を染めたときの発色の良さは絹に迫るレベルで、おまけに洗濯をしても問題ありません。

吸湿性に優れていることからも裏地のない着物の単(ひとえ)着物や浴衣にも多く用いられています。

そんな一見万能な木綿のデメリットは、縮みやすくシワになりやすい点です。

また、こちらも絹と同様に長時間日光に当たると変色しやすいので注意が必要です。

木綿は下着などでも良く用いられていることもあり、柔らかな手触りが特徴的です。

また普段着としての着物によく使用されていることも、見分けるときのポイントになります。

麻で作られてた着物

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植物表皮の内側から取れる麻を素材にした着物は、薄手でも張りがあり通気性にもとても優れています。

そのため木綿同様に夏場着用される着物の素材は麻で仕立てられていることが多いです。

とくに麻の中でも品質が高く、細い糸を縫い合わせて作った織物は、上布(じょうふ)と呼ばれる高級生地になります。

麻の特徴としてはこちらも吸湿性と通気性に優れており、薄手で軽いという夏用着物にピッタリな性質があります。

一方染色性は劣り、色染めしたあとでも色落ちしてしまいやすいので、どちらかというと落ち着いた色合いの着物が多いですね。

また弾力性がなく、シワにもなりやすい欠点も挙げられます。

麻でできた着物は絹や木綿と比較すると、手触りがしっかりとしていて、人によっては若干ゴツゴツして感じることもあります。

また先述の通り、あまり染色に適していない素材のため、比較的落ち着いた色合いの着物に用いられていることが多いです。

ウールで作られた着物

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羊やアルパカの毛からできているウールは動物繊維に分類されます。

ウールは繊維の表面がスケールという鱗に覆われているため、他の生地よりも厚手で暖かく、冬場の普段着に多く用いられています。

また着用時はかなり暖かいため、夏場や気温が上がる時期にはおすすめできません。

メリットとしてシワになりにくく汚れにも強いため、普段着として気軽に着ることができる生地素材です。

さらには肌触りが柔らかく、こちらも吸湿性には優れているので、冬場温かい室内でも蒸れてしまう心配はありません。

一方でデメリットとしては、虫の害を受けやすい、洗うと縮む、摩耗に弱いなどが挙げられます。

また個人差はありますが、肌にあたったときにチクチク感じることもあります。

ウールは動物の毛を用いているため、やや毛羽立ちがあることがあります。

毛羽立ちは他の素材では見ることがないため、ウールの着物の大きな特徴と言えるでしょう。

また冬物着物の素材として使用されていることが多いということも、見分けるポイントです。

ポリエステルで作られた着物

Andrea DonによるPixabayからの画像

ポリエステルで作られた着物は、安価でかつ高価な着物に近しい見栄えなので、気軽に着物を楽しみたい着物初心者の方にはベストかもしれません。

さらに、強度があり雨や汚れに強く、自宅で丸洗いできるなど、お手入れが簡単で汚れを気にせず楽しめるという特徴もあります。

ただ一方で通気性や保湿性、吸湿性に乏しい点が挙げられます。

そのため汗をかきやすい時期や冬場でも室内では蒸れてしまうこともありあまり適しません。

また上級者の方としては着物の絵柄が映えにくく、表現力が低いとも言われています。

感触は絹に似ていますが、絹に比べると軽く乾いた手触りがあります。

ただし近年の科学技術の進歩に伴って、見分けるのが難しくなっている素材です。

織り方の種類

着物の代表的な生地の素材を把握したところで、次はそれを使った織り方の種類を見ていきましょう。

まず着物には大きく三原組織と呼ばれる平織り・綾織り・朱子織りという3つの織り方が存在するので、こちらから理解していきましょう。

平織り


https://ja.wikipedia.org/wiki/平織参照

平織りは縦糸と緯糸を交互に浮き沈みさせて織る最もオーソドックスな織り方です。

特徴としては仕上がりが左右対称になり、また頑丈なためさまざまな着物に幅広く使われています。

代表的な平織りの織物には、麻織物の上布や絹織物のちりめんなどがあります。

綾織り


https://ja.wikipedia.org/wiki/綾織参照

綾織は斜文織りとも呼ばれ、縦糸が2、3本緯糸の上を通したあと、1本の緯糸の下を通すことを繰り返した織物です。

特徴としては平織りほどの丈夫さはないものの、シワになりにくく伸縮性に優れています。

代表的な綾織りの織物には、和服ではないですが、綿織物のデニムやネルシャツに使われるウールのフランネルがあります。

繻子織り

https://ja.wikipedia.org/wiki/繻子織参照

繻子織りは縦糸か緯糸のどちらかがあまり浮かず、どちらかのみが表面に出ている織り方をいいます。

特徴として柔軟性は非常に高いものの、ひっかかりには弱くほつれやすいです。

代表的な繻子織りの織物は緞子、綸子などがあります。

具体的な織物の種類

着物の素材についてと三原組織について理解したところで、最後はそれらを組み合わせてできた代表的な織物についても見ていきましょう。

羽二重(はぶたえ)

羽二重は平織りで縫われた織物になります。

特に絹を使って仕立てられた羽二重は光絹(こうきぬ)と呼ばれ、高級呉服や着物の裏地によく用いられます。

また一般的な平織が同じ太さの縦糸と緯糸を一本づつ縫い合わせて作るのに対して、羽二重は細い経糸を二本と緯糸一本を使って織ります。

これによって仕上がりが滑らかで、なおかつ柔らかな肌触りと光沢感があるのが特徴です。

縮緬(ちりめん)

経糸に撚(よ)りのない糸、緯糸に撚りの強い糸を使った平織の織物です。

撚りとは糸を丈夫にするために、糸をねじって使うことをいいます。

ちりめんはその撚りがもとに戻ろうとする力により、生地全体に「しぼ」という細かな凹凸ができるのが特徴です。

またちりめんの中にも様々な種類があり、紋意匠(もんいしょう)、一越(ひとこし)など有名なものや、地方によってもまた点在しています。

ちりめんで作られた着物は、そのしぼによってふんわりとあたたかい風合いが出て、厚みがあり、高級呉服から帯地、風呂敷、巾着など幅広く使われています。

一方で真夏の生地にはあまり向いておらず、秋から春先にかけて着られることが多いです。

紬(つむぎ)

紬は羽二重や縮緬と同様、通常は絹から作られます。

ただ羽二重や縮緬は繭から取ってきた生糸を使用するのに対して、紬は一度綿状になった繭から糸を作り、それに撚りを掛けて織ってつくります。

紬もまた地方によって様々な種類が存在し、茨城の結城紬や鹿児島の大島紬、長野の上田紬が有名です。

また紬はその独特の風合いに人気があり、カジュアル着物の中では最も人気があります。

作るのに手間がかかるため高価ですが、あくまでカジュアル着なのでフォーマルな場には適しません。

趣味の外出着や洒落着として好まれているため、一枚あると便利な代物です。

御召(おめし)

御召も縮緬の一種で、先練先染めを行い、通常の縮緬よりもしぼが細かいという特徴があります。

先練とは織物にする前の生糸の状態でセリシンという糊のような物質を取り除くことで、先染めは糸を染色してから織物を作っていくことをいいます。

一般に糸自体を染色してから織る織りの着物よりも、染色前の糸を織ったあとに染めていく染の着物のほうが格が高いと言われていますが、御召は例外的に格式の高い場でも着用することができます。

また御召という名称は徳川家斉将軍が好んでお召になられたことから、その名がついたと言われています。

絽(ろ)

経糸2本をねじって緯糸と織り込む「もじり織」という織り方です。

隙間があるため透明感と清涼感に優れた質感であり、暑さの厳しい季節に適しています。

また緯糸を何本おきに織り込むかで隙間が変わり通気性が変わり、3本おきなら三本絽、5本おきなら五本絽、7本おきなら七本絽と呼ばれます。

結婚式などのフォーマルな場に適しています。

紗(しゃ)

絽と同じもじり織の着物で、通気性が高いため暑さの厳しい季節に適しています。

経糸2本を緯糸1本に交差させながら織り上げているため、絽よりも隙間が均等でシンプルな透け感が特徴です。

紗は絽よりも格が下がるため、幅広いシーンで着ることができます。

厳粛な場では着づらいですが、セミフォーマルやカジュアルであれば十分に使えます。

またさらに織り方が変わったものに羅(ら)という織物もありますが、こちらは着物自体に使用されることよりも帯やコートに使われることのほうが多いです。

綸子(りんず)

綸子は経糸か緯糸のどちらかのみを表面に出す繻子織りの一種で、経糸、緯糸ともに撚らない糸を使って織り上げます。

また綸子の場合は表面には緯糸だけが出ており、織り方によって地紋が浮き出ているのが特徴です。

綸子の地紋は基本的に目立たずさりげないものですが、織り方によっては目立たせることもできます。

生地は薄く手触りは柔らかくて滑らかで、光沢感があるため女性の着物によく使われます。

緞子(どんす)

緞子は綸子同様、繻子織の一種です。

先染めであり、異なる色の糸を組み合わせて作るため、はっきりした模様を作り出すのが特徴です。

生地には厚みと重厚感があり、手触りは滑らかです。

光沢があり、高級織物の中でも代表的な織物とされています。

まとめ

ここまで、着物の生地や織り方による様々な違いをお伝えさせていただきましたが、いかかでしたか?

どれも一長一短であるためどれが良いとは一概に言えるものではありませんね。

それぞれの違いを把握した上で状況に合わせた適切な着物を選び、快適な着物ライフを過ごしていただけたら思います。

しかし、これ以外にも着物には様々な種類があったり、また着物を着る際の細かなルールもたくさんあったりするため不安に思う方も多いことと思います。

そんな方には是非着付け師さんがいる着物レンタル屋さんに足を運んでみてはいかがでしょうか。

リーズナブルな値段でそれぞれの着物を着てみることで、実際に感触を確かめながら違いを確認していくことができます。

プロの方に相談することで安心して着物を着て心から満喫できますよ。

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投稿者: 渡辺忠相

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